40代終活、年金の所得代替率を考える

終活

40代終活の専門家飯塚浩司です。ご覧いただきありがとうございます。

最近は年金に関する法改正がしばしば行われています。 老後2000万円問題や、少子高齢化などの影響を受けて年金制度自体が破綻するのではないかといった、穏やかでないニュースもたびたび耳にします。

40代の皆さんには不安になる前にまず、今後も制度は変わる前提で自分が年金を受給する頃、ザックリどんな状態になっているかを知って頂きたいと思います。
今回は「所得代替率」という指標を使って年金の現状と未来についてお話しさせていただきたいと思います。

所得代替率って?

所得代替率とは主に厚生年金に対して使われている指標で、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合かを示すもので計算方法とモデルは以下です。

所得代替率の計算方法

【モデル年金額】
夫が平均的収入で40年間就業
+
妻がその期間すべて専業主婦
の年金額

÷

【現役世代の収入

現役男子の平均手取り収入額

たとえば、所得代替率50%といった場合は、そのときの現役世代の手取り収入が400万円なら200万円を年金として受け取れるということになります。

直近の2019年の発表だと

【モデル年金】22万円÷【現役世代のモデル収入】35.7万円≒62%

でした。

これからの年金給付見通し

国は年金制度自体が破綻しないために、100年程度先まで 入ってくる保険料と支払う給付の試算をしています
この試算の前提として『所得代替率50%以上を確保する』という目安を政府は掲げています。

少子高齢化によって入ってくる保険料は減り、支払う給付金は増えることが容易に予想されますので、年金制度を維持するために随時法改正が行われているわけです。


ただ政府の掲げている目安は50%ですから、

今後50%までは所得代替率が落ちることを容認していると言い換えることもできます。

40代がとれる対策

生命保険文化センターによる令和元年度「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人が老後生活を送るうえで必要な生活費の平均額は月額22.1万円という結果でした(経済的にゆとりをもって老後生活を送るためには36万円)。

少々乱暴な計算になりますが所得代替率が50%だとすると、現在の現役世代のモデル収入35.7万円の50%は18万円ですから、毎月4万円ずつ不足する計算になります。

では今から何を準備するかという話になりますが、その方法は大きく以下の3つでしょう

収入を増やす

本業でのスキルを向上させて給料を増やす。副業などで本業以外の収入を得る。あとは 次の「年金額を増やす」にも関係してきますが、働く期間を長くするといった方法などがあるでしょう。
いずれにしても知識やノウハウが必要ですし一朝一夕で得られるものでは無いでしょうから、

収入を増やすためにはまず学び始めることが必要だと思います。

年金額を増やす

モデル年金額の夫婦は妻が専業主婦となっていましたが、企業で働くことで厚生年金を受給できる可能性が出てきます。

また現在の年金の支給開始の基準は65歳ですが、受給開始時期を遅らせると支給される年金額が増加します。
現在のルールでは1か月遅らせるごとに0.7%ずつ支給額が増加しますので、70歳まで受給開始を遅らせたとすると基準額の1.42倍の額の年金を残りの全期間に渡って受け取れます。
先ほどのモデル収入のケースですと18万円×1.42≒26万円ですから、老後に必要とされている生活費の22万円をクリアできることになります。

【年金受給5年繰り下げ】18万円×1.42≒26万円 > 【 必要な生活費 】22万円

もちろん65歳の時点で制度や自身の健康状態もどうなっているかは分かりませんが

65歳から5年間だけ年金に頼らず生活できる状態にしておくだけでも

未来は大きく変わります。

そのための貯蓄計画や健康管理などを考えるべきでしょう

資産を増やす

メガバンクと言われる大手銀行の定期預金の金利が0.002%しかつかない現在においては、自助努力による資産形成も必要でしょう。
投資はギャンブルと言った概念がまだまだ強いように思いますが 、「NISA」 や「 iDeco」 といった国が作った制度もあります。もちろん元本が保証されていないので、人によってとれるリスクや手法は変わりますが、

投資の基本は、「長期」・「分散」・「積立」と言われています

40代でしたら65歳までにまだ20年程度の期間が残っていますので、比較的少額でも複利のメリットを享受できますし、リスクも分散されると思います。まずは投資について正しく知ることが必要でしょう

40代はマルチステージ時代の入り口に生きている

「これからは年金だけでは暮らしていけなくなる(昔は年金で暮らしていけた)」

といった言い回しには少しだけ誤解があります。
実は年金制度ができてから今まで、所得の代替率は良くても70%ほどです。ということは、これまでも残りの30%は貯蓄などの自助努力でまかなってきたわけです。

これまでは40年程度働いて貯蓄をして、10年程度の余生で貯蓄を切り崩せばよかったので、なんとか帳尻があってきたのです。ところが「人生100年時代」を生きなければいけない時代になり、これまでの仕組みや、やり方では帳尻が合わなくなってきています。

だから社会保障制度や働き方などが大きく変化して行こうとしています。 40代の皆さんはこれら変化の影響をおそらく強く受けますので、今までの考え方

20年程度学習をして身につけた知識をもって就職し


身につけた知識を活かして40年程度働いて


蓄えた資産を切り崩しながら余生を送る

では人生を最後まで楽しめなくなる可能性があります。

終活で早く備える

少子高齢化が 年金制度に大きな影響を与えている以上、これから所得代替率が下がっていくのは容易に想像がつきます。

ただ40代の皆さんには

人生を自分で選べるだけの時間が残されています。

今までの考え方にとらわれたまま時を過ごし選択肢をなくしてしまう前に、これからの人生を俯瞰して今できることから準備していくべきでしょう。

そのためのツールとして終活、特ににエンディングノートがおすすめです。

死を意識することで人生の最終目標を強くイメージすることができます。そして現在のあなたの財産や想いを整理することで、 未来に向けてあなたが今すべきことが明確になります。さらに、突然もしものことがあった際に、残される大切な家族のための備えまでできてしまいます。

未来に対して漠然と不安を抱くのではなく、未来と今を正しく理解して、できることから少しずつでも進めていくべきでしょう。

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